アリゾナ州の治験

アリゾナ州の治験について

 

アリゾナ州は、アメリカ合衆国の南西部に位置する州です。アメリカ本土の州の中では、最後に加わりました。アリゾナ大学は、年々インディアン学生を増やしており、全米で最もインディアン学生が多い大学としても知られています。また当大学の医学部は日本でも注目を浴びた統合医療で最先端とされており、日本人医師も多く学んでいます。調査によると2013年にアリゾナ州全域で実施された臨床試験の数は1,311試験、参加者数は29,291名、臨床試験に投資された金額は2億3千720万USドルで、これによる経済効果は6億1千840万USドルであったと報告されています1)。以下、アリゾナ州で比較的大きな医療施設が参加している治験です。

 

VM202-PAD

本剤は韓国のバイオ企業バイロメドが開発した、末梢動脈疾患(PAD)を併発した糖尿病による慢性難治性足潰瘍の遺伝子治療薬です。本剤は、ヒトが体内で産生する二つのHGFプロテインのアイソフォーム(ヒト肝細胞増殖因子)が導入されたプラスミドDNAです。筋肉への注射により細胞に取り込まれ、細胞内で産生されたHGFプロテインは血中に放出され、様々なシグナル伝達経路を活性化することで新しい血管を形成します。このようにVM202の微小血管系の成長促進、神経細胞の再生は、PAD患者への貢献ができるものと期待されています2)。

 

2017年1月より7ヶ月間のランダム化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験3)が開始されました。本試験では、VM202のふくらはぎへの筋肉内注射によるPADを併発した慢性難治性足潰瘍への効果・安全性を評価します。300名の被験者を採用予定で、被験者の全員が標準治療と並行し、治療群とプラセボ群は2:1で割り付けられます。4ヶ月間の治療による特定箇所の創口閉鎖を主要評価項目としています。少なくとも2週間の開きがある連続した2回の来院にて皮膚の再上皮化が認められた際に創口閉鎖と認められます。2017年8月に被験者一人目の介入が始まりましたが現在も被験者選出中で、2019年12月に試験終了予定です。アリゾナ州では、アリゾナ大学がその実施施設となっています。

 

VM202-DPN

VM202は、有痛性の糖尿病性末梢性ニューロパチー(DPN)の治療薬としてもランダム化二重盲検プラセボ対照第III相臨床試験4)を実施中です。重篤な糖尿病合併症であるDPNは、多くの場合で痛みや神経栄養の変化、自律神経機能異常を伴います。DPNの治療は根本治療と対症療法を基本とし、多くの臨床試験により対症療法は確立してきましたが、根本治療としてその効果が認められているのは厳格な血糖管理のみです。末梢神経軸索の成長あるいは再生を促すことで致死的なニューロパチーの発現を防ぎ、進行を遅らせることが理想的な治療です5)。 前回の結果でVM202は、プレガバリンまたはガバペンチンによる疼痛管理と同程度の効果をあげています。

 

本試験では477名の被験者を採用予定で、被験者の全員が標準治療と並行し、治療群とプラセボ群は2:1で割り付けられ、ガバペンチンとプレガバリンの両剤またはいずれか一方による現治療により層別化されます。2016年4月に開始され、2016年6月には本試験で被験者1人目への介入がありました。アリゾナ州では、アリゾナリサーチセンターがその実施施設となっています。

 

 

SHP647(PF-00547659)

SHP647は潰瘍性大腸炎の治療薬であり、ランダム化プラセボ対照並行群間比較第III相臨床試験6)が実施されています。本剤はモノクロナール抗体で、消化管上皮細胞に発現するMAdCAM-1を阻害します。MAdCAM-1に結合することで、炎症に関与する免疫系細胞であるリンパ球の腸への移行を阻止することで、炎症を防ぎます7)。

 

本試験は、16歳から80歳までの中等度から重度の潰瘍性大腸炎の患者を対象とし、効果・安全性を検証します。治療群はSHP647の25mgまたは75mg(1ml SHP647を滅菌緩衝液に希釈しその容量を調節)を、0週、4週、8週目に皮下投与します。プラセボは滅菌緩衝液です。その効果は、12週間の治療における再燃発現患者数を患者報告ならびに内視鏡検査により評価されます。2020年11月に試験終了の予定です。アリゾナ州ではMesa Gastrointestinal Associates、Arizona Digestive Health、Del Sol Research Managementの3施設が参加施設です。また、SHP647は小児における潰瘍性大腸炎の治療薬としてオーファンドラッグに指定されており、小児を対象とした試験計画が検討されています。なお、本剤はファイザー製薬により開発されましたが、現在はShireがランセンス取得しています。

 

CAD106CNP520

2015年11月より、遺伝子型と年齢からアルツハイマー病のリスクの高い集団において、CAD106またはCNP520がアルツハイマー病の発病と病態進行を遅延させる事が可能か検証する為、ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較第II、III相比較試験(API APOE4 trial) 8)が開始されています。

本試験はCAD106とCNP520の2つのコホートから構成されています。両コホート共に、2つのAPOE4遺伝子を持ち、認知障害がない60歳から75歳の患者をアルツハイマー病または認知障害の発現リスクが高い集団を対象としています。基準を満たした参加者は、試験期間中に少なくとも2回のPETスキャンが義務つけられており、それ以上のPETスキャンや血液検査、脳席髄液検査は希望者のみ受ける事ができます。CAD106では、5:3で治療群(430例)とプラセボ群(260例)が割り付けられ、CNP520では3:2で治療群(390例)とプラセボ群(260例)に割り付けられます。CAD106コホートでは、CAD106(450μg) + アラムアジュバント(450μg)の筋注を1、7、13週に、その後3ヶ月まで13週ごとに投与します。プラセボ群は、CADプラセボとアジュバントをどうスケジュールで投与します。一方、CNP520コホートでは、CNP520(50mg)カプセルの経口投与またはCNP520のプラセボカプセルです。また、60-64歳と65-75歳の年齢別、北アメリカまたはその他の地域、ヨーロッパでの地域で層別化されます。CAD106またはCNP520もしくはプラセボを60-96ヶ月投与し、TTEエンドポイントにおいてイベント発生数が規定を上回った時点で終了とします。

主要評価項目1点目は、平均5年間の試験期間中のアルツハイマー病による軽度認知障害または痴呆の診断が下されるまでの期間です。診断は判定委員会により下されます。2つ目は、Alzheimer's Prevention Initiative Composite Cognitive (APCC) Test Scoreのベースラインから60ヶ月までの変化です。試験終了予定は2024年5月を予定されています。

なお、本試験は、Alzheimer's Prevention Initiative (API) programの一環として実施されており、アリゾナ州ではBanner Alzheimer's Institute、Mayo Clinic Arizona、Banner Sun City Research Instituteの3施設が参加施設として登録されています。

 

 

 

1)http://www.fromhopetocures.org/research-in-your-backyard/arizona

2)https://www.prnewswire.com/news-releases/vm-biopharma-announces-first-patient-dosed-in-phase-3-study-of-gene-therapy-candidate-vm202-for-non-healing-diabetic-foot-ulcers-300498949.html

3)https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02563522

4)https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02427464

5)https://www.prnewswire.com/news-releases/vm-biopharma-announces-first-patient-dosed-in-phase-3-study-of-gene-therapy-candidate-vm202-in-painful-diabetic-peripheral-neuropathy-300290357.html

6)https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03259334

7)https://ibdnewstoday.com/2017/05/23/ulcerative-colitis-investigational-treatment-shp647-decreased-remission-rates-in-clinical-trial/

8)https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02565511

 

 

 

 

 

Arizona Research Centerでの治験参加について(英語のみ)

Arizona Research Centerについて http://www.azresearchcenter.com/ ★スタッフコメント アリゾナ州に1997年から運営しており、670の治験を行っている実績のあるサイ・・・

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