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卵巣がん海外治験について

 

 

卵巣がんについて

2016年のがんによる女性の死亡数は153,201人にのぼり、部位別統計では、乳房、子宮に続き卵巣がんは女性がん死亡者数全体の約3%を占めます。また、男女ともに全がんの死亡者数は高齢になるほど 増加しますが、乳がん、子宮がんと同じく卵巣がんは40代女性での罹患が最も多く、その後割合は減少します1) 。卵巣癌は進行した状態で発見されることが多く、また婦人科がんの中でも最も死亡率が高い疾患です。また、患者にとって負担の重い手術と化学療法による初回治療に成功したとしても、その後もフォローアップが必須であり、また再発率は70-75%にものぼります。

 

2018年1月時点で実施されている海外治験(医療機関が日本に限定されていない国際共同治験)のうち、卵巣がんを対象とした 第III相臨床試験は70試験近くにのぼります。

また、現在の実施国/参加国としてはヨーロッパが最も多く、アメリカ、中国、中東、カナダがそれに続きます2)。

 

これより、近年話題となっている2つのポリADP-リボースポリメラーゼ (PARP)阻害剤について、いくつかの臨床試験をご紹介します。PARPとは破傷したがん細胞の修復に関わる酵素であり、PARP阻害剤はその作用を特異的に作用することで、がん細胞の細胞死(アポトーシス)を誘導します。腫瘍の増殖を遅らせる維持療法として、また直接的な治療薬としても期待されている新薬です。

 

オラパリブ

すでに海外ではBRCA遺伝子変異陽性卵巣がんを適応症とし承認·販売されているオラパリブ(製品名:Lynparza™)ですが、本邦では未承認薬であり、2018年内の承認が期待されています。 米国食品医薬品局(FDA)は2017年8月に、 米国においてオラパリブ錠剤(1日2錠を2回投与)の新たな投与法の追加とともに、成人患者の維持療法として、BRCA遺伝子変異の有無に関係なく、 プラチナ製剤を基本とした化学療法に対し奏効を示している再発上皮性卵巣がん、卵管がんあるいは原発性腹膜がんが新規に適応患者として追加することを発表しました。これらの新規/追加承認はSOLO-2試験、試験19の二つの臨床試験の結果に基づいています。

SOLO-2試験では、BRCA遺伝子変異が認められている295名の患者において、オラパリブはがんの進行あるいは死亡リスクを70%減少させ、無増悪生存期間(PFS)中央値を19.1ヶ月に改善が見られました(プラセボ投与群では5.5ヶ月)。試験19では、265名の患者において、BRCA遺伝子変異の有無に関わらず、オラパリブはがんの進行あるいは死亡リスクを65%減少させ、PFS中央値を8.4ヶ月まで改善させました(プラセボ投与群では4.8ヶ月)。また、オラパリブによる維持療法を継続した患者の全生存期間(OS)の中央値は29.8ヶ月という結果が示されました(プラセボ投与群27.8ヶ月)。

 

現在、世界ではオラパリブを用いて7試験の臨床試験が実施されています。

2017年4月に開始されたOreO 試験(A study to Examine Olaparib Maintenance Retreatment in Patients with Epithelial Ovarian Cancer)3) は現在被験者の選出中です。本試験は、第IIIb相プラセボ対照ランダム化二重盲検比較試験であり、非粘液性上皮性卵巣がん(原発腹膜がん、卵管がんを含む)の患者を対象にオラパニブの効果、容認性を評価することを目的としてます。416名の被験者の選出を目標としており、試験終了は2021年5月の予定です。

 

SOLO-2試験に続くSOLO-3試験4)は、プラチナ製剤をベースとした化学療法から6ヶ月以上経過したgBRCA遺伝子変異性卵巣がん患者を対象とし、オラパニブとプラチナ製剤を除く1種類の化学療法を比較し、オラニパブの効果、安全性を検討する試験です。患者はプラチナ製剤をベースとした2種類の化学療法の治療歴を有している必要があり、2015年2月に開始され、現在は被験者の選出中です。試験終了は2021年1月の予定となっています。

 

また、第III相臨床試験(NCT01874353) 5) は2013年6月に開始され、411名の被験者選出が終了し、すでに一部の患者への介入が開始されています。プラセボ対照ランダム化二重盲検であり、プラチナ製剤に良好な反応を示した再発高異型度漿液性癌またはBRCA変異のある高類内膜がん患者を対象に、オラパニブの単独維持療法の有効性を検討することを目的とした試験です。試験終了は2021年5月の予定です。

 

2015年5月に開始されたPAOLA-1試験6) は、第III相プラセボ対照ランダム化二重盲検比較です。進行性FIGOステージIIIB-IVの漿液性または内膜性卵巣がん、卵管がん、腹膜がん患者を対象とし、オラパニブの効果、安全性を検証する試験です。現在、612名の被験者の選出が進行しており、試験終了は2022年6月の 予定です。

 

---オラパリブとCEDIRANIB併用療法---

卵巣がん患者を対象とした試験のうち、経口投与可能な治験薬による併用療法として初めての試験です。2014年5月31日に第二相臨床試験の結果が発表されています。

第二相臨床試験は再発プラチナ製剤感受性高悪性度漿液性卵巣がん患者におけるオラパリブとCEDIRANIBの併用療法と、オラパリブ単剤療法の有効性と忍容性の比較を目的として実施されました。結果として、オラパリブ単剤投与と比較して2剤併用では無増悪生存期間が約2倍に改善されることが示されました。

現在、さらにこの2剤併用を検討するため、現在2つの第III相臨床試験が実施されています。2017年12月より開始されたICON9 7)は2018年1月時点では未だ被験者の選出は開始されていませんが、 618名の被験患者の登録が想定されており、試験終了予定は2023年12月となっています。

一方の第III相臨床試験は、2016年2月に開始しており、被験者549名の登録を予定し、現在被験者の選出が行われています (NCT0244660) 8)。試験終了は2019年12月の予定です。

 

ニラパリブ

ニラパリブを被験薬とした卵巣がん患者対象介入試験の第III相臨床試験は、現在1試験が進行しており、第I相から第IV相を合わせると6試験が進行中です。

ニラパリブもオラパリブ同様に本邦未承認薬ですが、再発上皮卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんの維持療法としてすでにFADに承認されており、米国では(Zejula)として販売されています。

さらなる維持療法の効果を裏付けることを目的として実施されている第三相臨床試験(プラセボ対象二重盲検試験)は現在、被験者を選出中です 9)。卵巣がんステージIIIまたはIV の患者を対象としており、患者は第一選択薬としてプラチナ製剤を中心とした治療履歴を必須とし、またその治療に対し完全奏功あるいは部分奏功を示した患者に限定しています。これに加え、対象患者はプラチナ製剤による治療後に、がん抗原125 (CA-125)が基準値または90%以上の減少を認めている必要があります。主要評価項目のデータ確定日は2019年8月の予定です。

 

 

以上、卵巣がんに対する第III相臨床試験の進行状況を、話題の2剤に絞ってお伝えしました。卵巣がんは早期発見されることが少なく、再発の可能性、死亡率も比較的高いがんです。遺伝性の卵巣がんなどこれまで治療法が確立されにくかったがんに対しても、適切な維持療法、画期的な治療薬がもうすぐ日本でも受けることができるかもしれません。

 

 

1)

https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

 

2) https://clinicaltrials.gov/ct2/results/map?recrs=abdf&type=Intr&cond=Ovarian+Cancer&phase=2&map=

 

3) 

https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03106987?term=olaparib&recrs=abdf&type=Intr&cond=Ovarian+Cancer&phase=2&rank=1

 

4) https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02282020?term=olaparib&recrs=abdf&type=Intr&cond=Ovarian+Cancer&phase=2&rank=3

 

5)

https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01874353?term=olaparib&recrs=abdf&type=Intr&cond=Ovarian+Cancer&phase=2&rank=4

 

6) https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02477644?term=olaparib&recrs=abdf&type=Intr&cond=Ovarian+Cancer&phase=2&rank=6

 

7) https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03278717?term=CEDIRANIB&recrs=abdf&type=Intr&cond=Ovarian+Cancer&phase=2&rank=1

 

8)

https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02446600?term=olaparib&recrs=abdf&type=Intr&cond=Ovarian+Cancer&phase=2&rank=7

 

 

9)

https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02655016?recrs=abdf&type=Intr&cond=Ovarian+Cancer&phase=2&rank=

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卵巣がんとは 卵巣がんは、子宮の両脇にある卵巣で発生するがんである。卵巣がんは、その発生する場所によって上皮性・胚細胞性・性索間質性などの種類があるが、90%以上が上皮性のがんである。また、悪性度が比較的低く、境界悪性腫・・・

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