類天疱瘡海外治験

類天疱瘡治験について

 

 

類天疱瘡とは、皮膚の表皮と真皮の境にある基底膜部のタンパクに対して自己抗体を産生することにより、皮膚や粘膜に水疱やびらん、紅斑を生じる自己免疫性水疱症です。抗体の産生機序が明確でなく、難治性であることもしばしばあるため、国により難病に指定されています。水疱性類天疱瘡は、西洋では最も頻度の高い自己免疫性水疱形成疾患である一方、東アジアでの頻度はそれほど高くないようですが、日本における患者数は7000~8000人ほどと推定されており、60歳以上の患者に多く、高齢社会によりさらに増加すると考えられています。

 

臨床現場では、テトラサイクリン・ニコチン酸アミド療法を行い、不十分な場合は少量のステロイド内服を併用します。難治性の場合はステロイドパルス療法、免疫抑制剤の内服併用、血漿交換療法の併用がされますが、治療抵抗性の場合や、合併症・感染症への懸念から、免疫グロブリンの注射療法が注目されています。

 

人免疫グロブリン製剤

献血グロベニン®︎I静注用(日本製薬)は、2015年に日本で初めて静注用人免疫グロブリン製剤として水疱性類天疱瘡の効能を取得した製品です。ランダム化二重盲検第III相プラセボ対照比較試験では、ステロイド剤0.4mg/kg/日以上にて治療下にもかかわらず改善が見られない水疱性類天疱瘡患者に対し、生理食塩水(プラセボ)または本剤400mg/kg/日が5日間連日投与されました。主要評価項目である投与開始15日目におけるPDAIスコア(各部位の皮疹や粘膜新の範囲を表す国際基準)は、本剤群(10例)においてプラセボ群(12例)に比べて早期に有意な改善を示しました。また、臨床症状の改善による治療法軽減までの日数においても有意差がみられました。副作用は本剤群60%(6/10例)、プラセボ群40%(5/12例)にみられましたが、両群間で有意差はみられませんでした。

 

抗CD20モノクロナール抗体; リツキシマブ

リツキシマブはCD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫、難治性のネフローゼ症候群などを適応を持つリツキサン®︎ (全薬工業)として2001年に薬価収載されています。リツキシマブによる天疱瘡治療は、2002年以降の難治性の天疱瘡に対する奏功症例に基づき、ヨーロッパの天疱瘡治療ガイドラインで標準治療として位置付けられています。日本でも難治性天疱瘡例への有効症例が確認されているものの保険適応外です。日本でのエビデンスを確立させるべく、2016年10月から慶應義塾大学病院、北海道大学病院、岡山大学病院、久留米大学病院の4施設が共同で医師主導治験(非ランダム化非盲検第II相)を開始しています。本試験は、ステロイド治療抵抗性の天疱瘡患者を対象としており、リツキシマブ治療開始24週後時点での寛解(完全+部分)に達した症例割合を主要評価項目としています。目標被験者数は10名です。

 

このほか、フランスで行われている粘膜類天疱瘡患者におけるランダム化二重盲検第III相臨床試験1)があります。リツキシマブの登場以前は、シクロフォスファミドが重度の粘膜類天疱瘡治療に最適な免疫抑制剤とされていました。本試験ではシクロフォスファミドを対照薬としてリツキシマブとの安全性・効果を比較します。両治療薬の剤型が異なるため、試験はダブルダミー法を用います。被験者は、リツキシマブ治療群としてリツキシマブ1g静注を1日目、15日目 、182日目、197日目に投与する群とシクロフォスファミドのプラセボを連日経口投与する群とに分けられます。一方、シクロフォスファミド治療群は、年齢と体重によって決定されたシクロフォスファミドの経口投与と、リツキシマブのプラセボ(生理食塩水)の投与をリツキシマブ実薬投与群と同様のスケジュールで投与されます。主要評価項目は治療12ヶ月後の完全奏功または部分奏功の割合とし、疾患活動性や再燃の割合も調査します。2018年4月試験開始予定で130名の被験者を選定し、試験終了は2023年11月の予定です。

 

ヒト化抗IL-5モノクロナール抗体;メポリズマブ

メポリズマブは気管支喘息治療薬の適応でヌーカラ皮下注用®︎(グラクソ・スミスクライン)としてすでに販売されておりますが、メポリズマブの類天疱瘡への応用が期待されており、2017年2月までにランダム化プラセボ対照第II相臨床試験2)が終了しています。

本試験は水疱性類天疱瘡患者を対象に、メポリズマブ750 mgを4回/月投与後3-9ヶ月による安全性・効果を生理食塩水(プラセボ)と比較検証することを目的として実施されました。投与開始から症状再燃までの日数を主要評価項目とし、そのほかABISIS(重度指標)、視覚的水疱突起スコア、抗体検定、有害事象発現数が評価されます。32名の被験者が登録されましたが、データはまだ公開されていません。

 

ヒト化抗IL-17Aモノクロナール抗体;イキセキズマブ

イキセキズマブは尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の適応で

トルツ®︎皮下注(イーライリリー)として2016年1月に発売された比較的新しい薬です。水疱性類天疱瘡で治療経験のない患者、難治性患者(最低1回のエビデンスに基づいた治療による失敗例)を対象とした非盲検第II相臨床試験3)の被験者登録中です。被験者はイキセキズマブ160mgを初回投与し、その後2,4,6,8,10,12週目に80mgを投与します。主要評価項目は12週間の新たな水疱形成が見られなくなるまでの日数で、そのほかBPDAスコアによる疾患活動性、併用するステロイド投与量や血中抗体量が計測されます。試験終了予定は2018年12月です。

 

ヒト抗エオタキシンモノクロナール抗体;Bertilimumab

エオタキシンはアレルギー性炎症における好酸球集積に深く関わっているケモカインの一つです。Bertilimumabに関する治験はあまり多くありませんが、Bertilimumabの新規または中等度から重度の類天疱瘡患者を対象としたオープンレーベル第II相臨床試験4)が実施中です。最大2週間のスクリーニング期間を設け、Bertilimumab静注による4週間(0、14、28日目の投与)の治療期間ご、フォローアップ期間として約13週間を設けています。治療期間とフォローアップ期間中、患者は経口ステロイドを服用します。

2018年7月が試験終了予定ですが、最初の6例に関する中間報告5)では、6例全例で疾患活動スコアが低下しました。42日目までに本スコアの中央値は72%の減少を示しました。全例において、最終観察日までに50%以上スコアを減少させ、6例中4例では90%以上の減少を示しました。また、Bertilimumabの忍容性は良好で、重篤な有害事象の報告はありませんでした。

 

 

 

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皮膚に対する自己抗体によって皮膚に水ぶくれ(水疱)ができる病気  血液中に存在する抗体はウイルスや細菌などに反応してその感染を防ぐためのタンパク質です。ですから、通常は自分の組織成分に反応する抗体はありません。しかし、時・・・

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