「飲み薬の治験」の記事一覧

飲み薬の治験について

 

 

試験の対象となっている新薬が経口剤(飲み薬)であっても、注射剤や外用剤であっても、

ヒトでの試験である第I相から第III相臨床試験という流れは変わりありません。

申請の際は、新規の有効成分であれば、剤型に関わらず製造販売承認申請書と以下の資料が必要です。

 

イ 起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料、
ロ 製造方法並びに規格及び試験方法等に関する資料、
ハ 安定性に関する資料、
ニ 薬理作用に関する資料、
ホ 吸収、分布、代謝、排泄に関する資料、
へ 急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性その他の毒性に関する資料、
ト 臨床試験の成績に関する資料

 

これら資料の形式はCTD(コモンテクニカルドキュメント)と呼ばれ、ICH(医薬品規制調和国際会議)で合意されたものです。主にヒトでのデータが必要なのは、上の項目でいう「ホ」と「ト」です。これらの資料を提出できるよう申請者は試験を必要があります。これらのデータの中には一般には公開されない情報やデータも含まれており、製薬会社にとってとても重要な資料となります。

 

日系企業を中心に、経口剤の治験情報をいくつか紹介します。

 

Aliskiren (TAK-792)

武田薬品工業株式会社が開発中のAliskirenは直接的レニン阻害剤で、ラジレス®︎として既に高血圧症を適応症として販売されています。進行中の臨床試験では、肥満を適応症として進められているようです1)。

 

Aliskirenの日本人および白人の健康成人男性を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照第I相2)までが終了しています。本試験は、Aliskirenの安全性、忍容性および薬物動態の検証を目的としました。被験者は、本剤30 mg、100 mg、250 mg、500 mg、750 mg、1250 mgまたはプラセボを朝食絶食下または朝食後に1日1回服用し、主要評価項目は投与開始から8日間に少なくとも一つの有害事象を発現した被験者の割合でした。

 

 

Imarikiren (TAK-272)

本剤もAliskirenと同様に直接的レニン阻害剤であり、2016年に第I、II相臨床試験までが終了しています。非盲検並行群間比較第I相臨床試験3)では、腎または肝機能障害の患者におけるTAK-272の効果をこれら障害の無い被験者と比較しました。第II相試験4)は、微量アルブミン尿症を伴う2型糖尿病患者を対象とし、用量設定を目的としたランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験でした。被験者はTAK-272 (5 mg, 20 mg, 40 mg and 80 mg)またはプラセボもしくはカンデサルタン(8mg)を朝食前または朝食後に連日1日1回、最大12週間服用しました。治療開始前から治療開始12週間の尿中アルブミン/クレアチニン比の変化を主要評価項目としました。日本のみ68施設での実施でした。

 

 

ペフィシチニブ

ペフィシチニブはアステラス製薬により開発された新しい薬剤クラスであるヤーヌスキナーゼ(JAK)阻害薬です。本邦では、JAK阻害剤として1番最初に承認されたトファシチニブ(ゼルヤンツ®︎)、続いて2017年に承認されたパリシチニブ(オルミエント®︎)があります。いずれも経口のリウマチ治療薬です。

2018年2月にペフィシチニブの二つの第III相臨床試験であるRAJ3、RAJ4の結果が一般に公開されました。両試験共に、既存治療で効果不十分な関節リウマチ患者を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験で、本剤治療群にて優越性が示されたとのことです。

 

RAJ3試験は世界各国で実施され、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)による治療で十分な効果が得られなかったリウマチ患者およそ500例に、DMARDsとの併用または非併用にてペフィシチニブ(100mg、150mg)を1日1回投与しました。その効果は、投与12週目のACR20改善率により評価されました。*ACR20改善率とは、米国リウマチ学会(ACR)が定めた抗リウマチ薬の効果を評価する基準で、関節リウマチに関する特定の評価項目が20%以上改善された患者の割合を示します。

 

一方、RAJ4試験は日本のみの実施で、メトトレキサートによる治療で良好な反応が見られなかったリウマチ患者およそ500例に、メトトレキサートとの併用におけるペフィシチニブ(100mg、150mg)を1日1回投与しました。その効果は投与12週目のACR20改善率と投与28週目の関節破裂抑制効果を示すmTSSのベースラインからの変化量により評価されました。*mTTSは、手足のレントゲン写真から関節の破壊がどのくらい進んでいるか評価する方法です。

 

S-033188 (Baloxavir Marboxil)

塩野義製薬が開発したS-033188は、1日1回の経口(錠剤)インフルエンザ治療薬です。成人と小児のA型またはB型インフルエンザを適応症として、2018年2月現在、承認申請中です。これまでの健常なインフルエンザ患者を対象とした臨床試験(CAPSTONE-1)によると、広く使われているタミフル®︎(オセルタミビル、カプセル、1日2回5日間連続投与)と比較して本剤は抗ウィルス効果が高い結果となっています。また、安全性に関しても有害事象がタミフル®︎に比べ有意に低かったと報告されています。高い抗ウィルス効果と、非臨床ではありますが鳥インフルエンザウィルスやこれまでのインフルエンザ治療薬へ耐性を示すウィルスへも効果があることから、感染被害の拡大抑制やパンデミックへの対応への対応も含め、重要な治療薬となると考えられています。

 

現在、スイスに本社を持つF. Hoffmann-La Roche Ltd.と提携し、ランダム化二重盲検第III相比較試験(CAPSTONE-2)5)が実施されています。本試験は、合併症を発現しやすいと考えられる発症から24時間以内の12歳以上のインフルエンザ患者を対象とし、本剤の効果をプラセボまたはタミフル®︎と比較します。ダブルダミー法を用い、S-033188またはタミフル®︎のプラセボ、タミフル®︎またはS-033188のプラセボ、S-033188のプラセボまたはタミフル®︎のプラセボの3アームから得られる効果は、治療開始からインフルエンザの症状改善までの時間で評価されます。2016年から開始されており、試験終了は2018年6月の予定です。2157名を最終的な被験者数として、世界各国455施設が実施施設として登録されています。

 

なお、11歳までの小児インフルエンザ患者(体重20kg未満)を対象としたS-033188 の2%顆粒の第III相臨床試験も被験者を募集中です。本試験は、安全性、忍容性、薬物動態及び効果を評価することが目的で、実施国は日本に限定されています。

 

ONO-5334

小野薬品が開発したONO-5334はカテプシンK阻害薬の経口骨粗鬆症治療薬です。現在、第II相臨床試験まで終了しています。既存のビスフォスフォネート製剤と異なり、骨形成に影響を及ぼすことなく骨吸収のみを抑制する特徴があります。これまでの結果により、本剤100mgを1日1回または50mgを1日2回の投与に比べ、300mgを1日1回での投与により最大の骨吸収抑制効果が認められたことから、骨吸収を24時間継続して抑制することで骨密度の増加につながる事が示唆されています。

 

なお、同じくカテプシンK阻害薬のオダナカチブは第III相まで進められていましたが、脳卒中のリスク上昇が確認されたため、2016年に全世界において開発中止となりました。

 

 

1)https://www.takeda.com/newsroom/newsreleases/2017/incj-takeda-and-medipal-holdings-partner-to-launch-a-biotech-venture/

2) https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02448719

3) https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02367872

4) https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02332824

5) https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02949011

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本で治験 飲み薬 海外で飲み薬治験を探す

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