「ローション海外治験」の記事一覧

ローションの治験

 

 

 

第16改訂日本薬局方によると、皮膚(頭皮を含む)または爪に塗布する液状の製剤と定義する外用剤のうち、有効成分を水性の液に溶解または乳化もしくは微細に分散させた外用剤をローション剤と呼びます。

通常、新薬の塗布剤は軟膏剤から開発されることが多く、患部への浸透性や使い心地の改善を目的とした製剤工夫によってクリーム剤、ローション剤、ゲル剤へとラインナップが広がります。したがって、剤型追加の場合の多くは、先行して承認販売された剤型(多くは軟膏剤) で有効成分の特性データ等はすでにあるため、重複してのこれら試験が不要になります。ただし、有効成分が同じであっても、軟膏とローションでは基剤が異なり、これが皮膚への吸収率や吸収速度に影響を与える要因となる可能性もあるため、生物学的同等性試験により、先行する剤型より劣らないこと、治療学的に有用であることを示さなければいけません。

 

 

イベルメクチン

FDAまたはEMAがすでに承認しており海外では広く用いられているアタマジラミ用ローションに、Sklice® ローション0.5%(本邦未承認)があります。

アタマジラミ症はアタマジラミが頭髪に寄生し、場合により瘙痒を伴う感染症です。発展途上国に限らず先進諸国の 幼児にも高率に寄生します。幼児の間で集団感染の可能性が極めて高く、学校において予防すべき感染症の第三種「その他の感染症」に該当し、治療の必要性が極めて高い感染症です。

 

 

Skliceローションの効果、安全性を示す試験として、二つの二重盲検比較試験(試験1、試験2) 1) が実施されました。Skliceローションと薬効成分が入っていないローション(基剤のみ)を1日1回塗布し、14日後のアタマジラミの有無にて効果を検証しました。その結果、アタマジラミの駆除が確認された割合は、Skliceローション群で試験1は 76.1%、試験2では 71.4%であり、薬効成分が入っていないローション群ではそれぞれ16.2%、18.9%でした。また、18歳から65歳の健康成人を対象としたパッチテストでは、皮膚への刺激が極めて低く、血中への移行によるリスクもリスクは低いことが認められました。

 

Skliceローションが本邦でも承認されれば、これまでのアタマジラミ駆除用シャンプーやパウダーに比べ、使用法の容易さからコンプライアンスの向上改善、さらに集団感染の危険性を早期に回避することが可能になると期待されています。

 

 

ミノキシジル

ミノキシジルはAGA(男性型脱毛症)治療薬として、日本ではリアップ® (大正製薬)という名称で販売されています。このローションタイプのミノキシジルは1988年にFDAに承認されて以来、AGAの第一選択薬となってきました。しかしながら、5.7%の患者に接触性皮膚炎が発現しています。ローションタイプの本剤は溶剤としてプロピレングリコールが用いられており、これがアレルギーの原因となりやすい物質であることから、刺激性の低いブチレングリコールを溶剤としたミルキーローションの開発中です。現在、従来のローションとの効果・安全性を比較するための臨床試験は第II相まで終了していますが、結果は未発表です(2018年1月現在)。ミルキーローションはタイの病院 (Siriraj hospital)の院内製剤として作られており、被験者は20人と小規模です2)。

 

 

ヘパリン類似物質

ヘパリン類似物質を主成分とするローションにヒルドイドローション® (マルホ)があります。薬効分類は血行促進・皮膚保湿剤としており、皮膚科だけでなく一般的に保湿剤として処方されることが多い薬剤です。近年、子供に処方された本剤を母親が美容目的として乱用するケースが散見され問題となっています。3つの国内臨床試験(114例)により示された改善率は皮脂欠乏症98.1%、進行性指掌角皮症85.2%、肥厚性瘢痕・ケロイド66.7%、外傷(捻挫、挫傷)100%でした。

 

クリンダマイシン

クリンダマイシン酸エステルを主成分とするローションに、ダラシンTローション1%® (佐藤製薬)があります。 強力な殺菌作用があり、化膿性炎症を伴うざ瘡に広く使用されています。ダラシンTゲル1%が先に販売されていたため、ローションは剤形追加となり、ゲル剤を標準薬とした生物学的同等性試験が実施されました。ざ瘡患者に1日2回、朝夕洗顔後、4週間塗布した結果、炎症性皮疹の減少率はローション群(87例)で58.5%、ゲル群(90例)で57.6%という結果が示され、両剤の生物学的同等性が認められました。

 

ジクロフェナクナトリウム

高い消炎・鎮痛効果のあるジクロフェナクナトリウムを配合するローション剤に、ボルタレンローション® 1% (ノバルティスファーマ)があります。 治験時には生物学的同等性試験として1%ジクロフェナクナトリウム軟膏と1%ジクロフェナクナトリウムローションの角層への移行を比較しました。健康成人男子 8 例の背部 12 ヵ所に軟膏、ローションを0.2mg塗布し、定常状態到達4時間後に剥離した角層のジクロフェナク濃度を測定した結果、両製剤は生物学的に同等であると確認されました。

 

 

タカルシトール

タカルシトール水和物を主成分とする製剤に、ボンアルファハイローション® 20μg/g(帝人ファーマ)があります。本剤は、先行して承認販売されていたボンアルファローション® 2μg/gの有効成分を10倍配合した製剤です。活性型ビタミンD3製剤であり尋常性疥癬の適応をもちます。他の外用剤による治療を4週間継続しても効果がみられなかった難治性尋常性乾癬または皮疹の患者においてボンア ルファハイローション20μg/gとボンアルファハイ軟膏20μg/gの間で生物学的同等性試験を実施したところ、両剤の有効性は同等であると確認されました。なお、添付文書に定められている用法用量は、ボンアルファローション® 2μg/gでは1日2回、ボンアルファハイローション® 20μg/gは1日1回です。

 

 

ジフルプレドナート

ジフルプレドナートは副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)であり、抗炎症作用と血管収縮機能から、本剤の強度はvery strongに分類されます。スチブロンローション® 0.05%(岩城製薬)は、ジェネリック医薬品ですが、田辺三菱製薬の先発品にはローションタイプがないため、用途に応じた剤型選択の幅が広がることから開発されたと考えられます。

ラットを用いたクロトン油耳浮腫抑制試験及びペーパーディスク肉芽形成抑制試験において、スチブロン軟膏0.05%、スチブロンクリーム0.05%及びスチブロンローション0.05%並びにそれぞれの標準製剤(製品名は一般公開されていません)を塗布し、浮腫抑制率及び肉芽形成抑制率を調査しました。その結果、いずれの製剤も標準製剤との生物学的同等性が確認されました。

 

 

 

1) https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2012/202736Orig1s000lbl.pdf

2) https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01650272

 

 

 

海外治験でローション治験

一般のクリニックで探せることもありますが、化粧品メーカーなどの機関でも行っているようです。

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